「でも、レイナちゃんを かわいく思っているのは本当だよ?」

「・・・そうですか。」

なら、あなたが 結婚して差し上げてはいかがですか。
なんて、心の中で反論してみる。


「---ぷ。レイナちゃんを妹みたいにかわいく思ってるけど、
 僕。愛妻家なんだ。」

「・・・そうですか。」

また、顔に出てたか。俺。

っていうか、あまりにも、思っていることが筒抜けすぎて
始さんに、いら立ちを覚える。


はぁ。



「--結局、昴にはわかってたみたいだけど、
 レイナにはあきらめさせるよ。
 別の 男でも紹介して・・・」

ふーーっとため息をつきながら始さんが
ワインをぐいっと飲み干した。


「--知らないところで、迷惑をかけて 申し訳なかった。」

「・・!!!」

驚いた。
まさか、始さんに 頭を下げられるとは予想だにもしなかった。


いや、確かに迷惑だったし、
でも、俺の知らないところでの迷惑だったし・・・


ちょっと焦った俺に、始さんはふっと笑って話しかける。

「ーーー本当に、悪かったと思ってるんだ。市川、武。
 僕は、君の気持を 考えてなく、レイナちゃんが落とすゲームとしかとらえてなくて。」

始さんはギュッと唇をかみしめて、
眉間にしわを寄せた。

「結局、レイナちゃんの望みもかなえられず、
 結局 昴にも『負ける』し、君にもーー
 結局 市川、武の生活をかき回してしまって・・・」

自覚しているのか。


別にいいとは言わないが、生活がかき乱されるのは昴様で慣れてるし。