たしかに、そのころ 兄や父がこぞって『婚約者候補』を送り込んでくるからものすごく迷惑していた。たしか、神原レイナ もその一人だ。
「--神原家にも縁があるし、
業務の提携なんかも考えて、ちょうど 年頃も同じ女の子がいるってことで
白羽の矢が レイナちゃんに立ったんだ。
僕の、奥様の 親戚だし。」
たぶん、そこが一番重要なんだろう。
「レイナちゃんって、かわいいんだよね。
素直で、表現もすれてないし。どこか世間知らずで。」
「・・・はぁ。」
そうだろうか?
素直っていうか、わがままだ。表現もストレートすぎて、わがままだ。
世間知らずっていうか・・・わがままなだけだろ。
「だから・・・あぁ、昴にも言ってないんだがな。」
始さんは、ちょっと困ったように笑って
ふーーっと息を吐く。
「レイナちゃんに、
きちんと、全裸になって寝込みを襲えってアドバイスしたんだよね。僕。」
ぶっと 思わず吹き出す。
「・・っし、失礼しました・・・って・・・えぇ???」
「昴の好みって・・・というか、
そのころ遊んでいた子たちって、全裸で忍び寄って 超高飛車っていうの?
派手な感じの子達ばっかりだったから、
そういうのが 好きなのかと思って。」
「・・・はぁ。当時のことはわかりかねますが・・・」
「ーー丁寧な言葉はやめて、ちょっとエラそうな口調で強気で行けってアドバイスしたんだよね。」
「・・・そ・・そうですか。」
確かに、エラそうで気の強そうな印象ではあったが・・・