そうか、そうだよな。

上司から、
秘書いらないから一人でやると追い出されたら・・・
そりゃぁ、へこむよな。


「・・・。三崎君。大丈夫だ。
 たぶん、そういう事じゃない。」

『いえ、僕が、市川さんのように 常務に尽くせなかったから
 きっと、満足いただけなくて・・・』

ちょっとまて、
なんだそれ、俺、別に尽くしているつもりはないが・・・
ちょっと顔をしかめたが、
電話口でそれは伝わるはずもなく、

『やっぱり、
 僕は、常務に嫌われているんでしょうか?
 書類処理が速いだけじゃぁ、
 やっぱり、プラスのテクニックが 無いと、ダメなんでしょうか?』

「テクニックって・・・」


思わず、苦笑する。

ホント、どこまでもまじめな 三崎君。

『それに、それに、 今日は大事な
 ご長兄様の 個展のオープニングセレモニーにも間に合いそうにも…』

「!!!三崎君!!
 なんで、それを先に言わない!!」


忘れてた!!

俺としたことが!

急に大声を上げたので、正樹がびっくりしたように
こちらを見るが、そんな場合ではない。