金も地位もある昴は
よく、各方面から声がかかる。
それに加えて、この容姿だ。
ふわりとした髪に、整った顔立ち。
立ち振る舞いも上品だ。
しかし、一番の魅力は笑顔なんだろうな。
昴の笑顔で商談も
いっきに進むことが多い。
本人もその魅力をわかってて
ここぞというときに「笑顔」を振りまくから
たちが悪い。
そう、たとえば
こんな、無理やり朝から俺を連れまわすときとか。
今日の資料をいくつか取り出しながら、
ふと、武の手が止まる。
「・・・昴様。会社への道と違うようですが・・・」
というか、
会社・・・過ぎた?
思わず眉間に皺を寄せる。
いつもの見慣れた道が遠ざかる。
ミラー越しに
にっこりと、見とれるよな笑顔の上司と目が合う。
あぁ、嫌な予感しかしない。