まず、木のツルを大きな子熊と小さな子熊の体に結びます。

 大きな子熊は、近くの木にしっかり掴まります。

 中くらいの子熊は、二匹の真ん中に立って、ツルを持ちます。その方が安定して、小さい子熊が、より動きやすくなるからです。

 いよいよ魚獲りの始まりです。

 小さな子熊が川へ入ります。川の流れは、速いですが小さな子熊が流されることはありません。支えてくれている大きな子熊と木のツルのお陰です。

 ゆっくりと川の流れに逆らって、動いていきます。一人だったら動けなかったでしょう。木のツルを持ってくれている中くらいの子熊のお陰です。

 二匹の子熊の力を借りて、小さな子熊は、ユラユラと泳いでいる魚に狙いを定めます。

 ブン!

 小さな子熊の前足は、父熊ほどたくましくありません。一度目は外してしまいます。

 でも、小さな子熊は、諦めません。

 ブン!

 二度目も外してしまいました。

 父熊は、簡単そうにやっていましたが、実際にやってみると、難しいのです。

 小さな子熊は、焦り始めます。

 ブン! ブン! ブン!

 何度やっても、魚は獲れません。

 小さな子熊は、泣きそうになりました。


 その時です。


 小さな子熊が動きすぎて、知らず知らずのうちに弱っていた木のツルが切れてしまいました。