次の日、父熊に言われた通り、三匹の子熊達は、自分達だけで魚を獲りに川へ行きます。

 近場で見ると、思ったより流れが早く、三匹の子熊達は、足がすくんでしまいました。


「どうしよう。このままじゃ、おさかな、とれないよ〜」

「でも、ボク、おなか空いちゃったよ〜」

「でも、川……怖いよ〜」


 子熊達は、ブルブル震えて、誰も川へ入ろうとしません。

 しかし、いつまでも震えていても魚は、獲れません。三匹のうちのある一匹が意を決して言いました。


「ボクがいくよ!」


 三匹の中で一番小さい子熊が言いました。

 おそるおそる、前足を一歩、川へと入れます。

 でも、やっぱり流れが速いのでしょう。小さい子熊は、すぐに引っ込めてしまいます。


「だめだぁ〜」


 小さい子熊は、しょんぼりしてしまいます。


「あ、あきらめちゃダメだ!」


 そう言ったのは、三匹の中で、一番大きな子熊です。


「おれがオマエの体を持っててやる!流されないように、しっかり持っててやる!」


 力強く言うと、大きな子熊は、小さな子熊の腰をしっかりと支えました。

 確かにこれなら流さないでしょうが、今度は、魚が獲れません。

 そこで、三匹の中で、中くらいの子熊がひらめきました。


「ちょっと待ってて!」


 中くらいの子熊は、そう言って、森の奥へと引っ込んでいきます。しばらくして、中くらいの子熊は、口に木のツルをくわえて持ってきました。


「これを結びつければ、流されないし、魚も獲れるよ!」


 中くらいの子熊が言うと、小さな子熊と、大きな子熊は、ウンウンと頷きました。

 三匹の子熊達の魚獲り作戦の始まりです。