なんて、勘がいいんだろう。

いや、勘など悪くても私のあからさまな態度でバレてしまったんだ。


「なにも、ないです…よ?」


彼の手に手をそえ、見上げなから言った。きっと、この嘘もばれてしまうだろう。


その証に海鈴さんは不満そうに私を見下ろしていた。


「いのりの嘘つき」

「嘘なんか…」

「嘘だよ。だって、今日さ目覚めたら、やるはずだった資料が全て片付いていたから」

「…え?」


それと、これと、なんの関係があるの?


思わず黙りこむ私に彼は続ける。


「グレンはさ、天界の机に向かう仕事が嫌いなんだ。だから、僕がグレンの間は仕事が終わらない。そのせいで、僕が何度深夜まで頑張ったことか」