「宮本?」
頭を抱えながら左右に振るあたしに、永倉が訝しげな声を掛けた。
「…………あたし、何でこんなとこにいるんでしょう」
ダメだ、もう何かワケわかんない。
「はぁ?」
土方は苛立たしげに眉を潜めている。そんなに睨んでくれるな。今のあたしはオーバーヒートで故障気味なんだよ。
「何言ってんだ、お前」
「何……言ってるんでしょうかねぇ。それすらも分かんなくなってきました……」
「……何だこの女」
「頭やられたのか?」
「元々おかしかったんじゃないでしょうか」
失礼千万な奴らの言葉も、今ばかりは言い返せなかった。
「そうだ…思い出したわ……壬生浪士……新選組じゃん…」
歴史でやったよ。やった。確かに習ったじゃん。
ヅラで有名な松っセンが言ってたわ。
性悪土方のこのムダに整った子憎たらしい顔もなんか見覚えあるわ。