「つぅかなぁ、誰がこんな蒸し暑い夜にクソ熱い茶入れてこいっつったよ!
冷茶に決まってんだろ!」
土方さんの投げやりな説教に、宮本は盛大に
「は?」と冷たい声を出し目を見開いて、
「昼間は馬鹿みたいに熱いお茶しか飲まないくせに、
夜は冷たいのしか飲まないんですか?
冷茶に決まってるとか、“茶!” しか言わないのに分かるわけないじゃないですか。
アンタあたしに一体何を求めてるんですか。
言わないでもあたしなら分かってくれるとでも思ってんですかあたしはアンタの嫁かなんかですか。
文句があるなら自分で入れたらいいじゃないですか。
風呂上がって寝ようとした時にいかなり声かけてきたくせに、わざわざ入れてきたら文句ばっか言って、アンタ何様ですか殿様にでもなったつもりですか」
「ああああもう分かった分かった!悪かったって!
飲みゃーいいんだろ飲みゃあ!」
怒涛のごとく無表情に近い苛ついた顔で文句を言い出し、
土方さんは若干引きながら湯呑みを煽った。
「ったくよー」
「どうぞ近藤さん。お茶です」
「おお宮本君すまないな!」
「いえ」
「………………」
本当におかしいな。
言われた事にちゃっかり言い返すところはいつもと変わりないが、
今の場面はいつもならこう、蔑んだような見下すような視線で土方さんに、
「ほら、局長を見習えばどうです?無礼者のトシさん」
…………ぐらい言いそうなものだが。