「あれ、おっかしーなー」

「兄ちゃんヘタクソー!」

「こら。師匠(せんせい)に向かって何を言う」


ポカッと頭を叩く。

「あたしにヘタクソっていうなら、あたしより飛ばしてからにしぃ。
ほら、こっから飛ばしてごらん」

「っへへ、絶対兄ちゃんより飛ぶし!見ててな!」

ニカッと笑いながら、庭の端に落ちた紙ヒコーキ、もといイカを取りに行く為三郎。

その後ろ姿を見て、袴の裾の汚れを払っていると、


「きゃっ」

という悲鳴と、ドテンと乾いた音がした。


「?」

顔を上げると、イカの近くに尻餅をつく為三郎。

その前で仁王立ちする男。


「………………」