こちらを仰いで言う沖田の声に、
ぼそりと呟いた黒づくめ───山崎と言ったか───は、静かに地面に飛び降りた。


「ぐぇっ」

いかんせん乱暴な降り方に、あたしは呻く。
振動がダイレクトに伝わってきたからだ。

暴れながら乱暴に猿ぐつわを外して、山崎を見上げる。


「……アンタ、あたしに気ィ遣うとか考えなかったの。地味に痛いんだけど」

「アバズレが何を言う」

「ほざけ」

覆われた顔の唯一覗くつり目ぎみの瞳を、じろりとねめつける。

奴の瞳が僅かに細められたことから、どうやら同じように睨まれているらしい。


「あれ?ずいぶん仲良くなったようですねお二人さん」

「どこが」

「誰が」

「クスクス、宮本さんってどう転がっても喧嘩に持ち込むんですね」


沖田が袖を口許に当てながら少女らしく笑う。
何こいつ。