「だから~絢合コンしよ~!」
「でも…」
「大丈夫だよぉ~!!優しそうな人だったしすごいノリもいいし!」
「う~ん…」
私が迷っているのをいい事に薫は由紀奈も巻き込んで同調させて合コンをする方向に持っていこうとしている。こういう時に人の意見に流されて自分の意見をハッキリと言えない自分に苛々する。
「ね!合コン楽しいから!!」
「そうだよ~絢いってきなよ~」
同調するだけで許される由紀奈に苛々したが、ここでその苛々を見せては今までの積み重ねた『友情』とやらに亀裂が走るかもしれない。
「ん…今回だけね~?」
「ほんとぉ!?やったぁ!!」
薫の口車にまんまと乗せられて断れない私を見て椿は少し心配そうな顔をした。
「今悠君に連絡するね!!!」
薫は相当嬉しいのか早く違う男と遊びたいのか、医学生の悠君と言う男に電話をかけて合コンの日程について話し始めた。…電話をしている声は相変わらずの猫なで声で語尾を伸ばして甘えた口調で電話してる様子から、きっと薫は悠君狙いなのだろうと確信した。
「うん!はぁ~い、バイバァ~イ」
「…電話なんだって?」
合コンが中止になったなんて事を口にしないかちょっとの希望を持ちながら薫に聞いてみた。
「明日の夕方6時に荻越駅だって~」
「あ…明日!!!?」
「うん!早い方がいいね~って」
「そっか~…わかった」
どうせカラオケとか行って話して帰るだけだろうし…覚悟を決めて行く事にした絢にコソッと寄ってきて話しかけてきたのは椿だった。
「…大学生は気をつけなよ?」
「…え???」
「いや…何かあったら連絡しなね」
「…?うん、わかった」
イマイチ椿の言っている意味を理解できないまま、今日は解散することになった。