マスターを見つめているようで何を見ているのか分からない。

そんな瞳が捕らえて逸らせず。


カウンターに乗せた両手のうち、右手を持ち上げマスターの左頬へ、そっと添える4番目の唇は。



「僕を、『否定』して。お願い」



ひどく残酷な言葉を紡ぎ、それでも『お願い』と乞う姿は滑稽で。

だって世界はツマラナイ。
【失望】しかないこの世界、僕がいなくても "4" は残る。


だったらいっそ



「それは無理な頼みだ」



僕を『否定』してほしいのに。