それに少し面喰らったマスターだが、カップを受けとり新しい紅茶を淹れた。



「私の名前は【麻石 聖】(あさいし ひじり)だ。それと、君が人外だからこそ、そして正体を教えてくれたからこそ私も伝えよう。

私は『否定』の魔法使い。他にも私を合わせて10人の魔法使いがいるが、さてね。素性の知れないやつもいるんだよ」


「……ふうん、『否定』ねぇ」



こくりと一口だけ口に含む4番目。

その目は何かを掴んだかのようにギラギラ光っている。



「ところでさあ、ここっていつも客いないの?僕以外誰もいないけど」


「ああ、それは。学園に行っている者や仕事の都合でこの時間帯は来れない者が多くてね」


「へえ、じゃあここで何か起こっても、誰も気づかないのかな」


「え、」



カチャリと音がしたかと思えば。備え付けフォークとバターナイフを持った4番目が、その切っ先をマスターに向けていた。