「ねえ、佐倉。



俺が解放してやるよ、長年の片想いから」




宵闇の中、白く浮かび上がる桜の下で、設楽君は私に向って手を差し出した。



私を見つめる彼の瞳に、私への強い想いが見えた気がした。




彼となら、抜け出せるかもしれない。



このがんじがらめの想いから。




満開の宵闇桜の下、私は差し出された手のひらに自分の手のひらを重ねた。




Fin