「……っ、嫌だ……嫌だ!!」


 一面の黄色がぼやけて視界が滲む。


 私は、潰れてぐしゃぐしゃになった一輪のチューリップを、胸の中で抱きしめた。


 三年もの月日の中で、彼が一緒に誕生日を祝ってくれたのは、たったの一度きりだった。



 ――嫌い。黄色いチューリップは大嫌い。

 だって、嘘つきの花だから。



 Fin