少し身体を起こした七瀬は息をついて、大丈夫だと言うように御草の肩を叩く


「心配したんだよ……」

「……ごめん」


やっと七瀬を放した御草は潤んだ瞳を細めて微笑む
そこに低い声が割って入った


「感動のご対面のところ悪いがな、お前達に聞きたい事がある」


七瀬が寝かされた布団の傍に立った長身の男性
鋭い瞳は、目を合わせただけで射殺せそうな圧力があった


すぐ隣にいる御草は緊張に身体を強張らせている


「歳!そう凄むんじゃない。怯えているだろう」


鷹揚とした声が更に部屋の空気を変える


よく見渡せば、八畳ほどの部屋に歳と呼ばれて男、そして呼んだ男が座っている
更に部屋の隅には沖田と名乗った青年がいた


「近藤さん、甘い事は言ってられねぇな。ガキとはいえ刀で下首人を殺っちまったんだ。事情はキッチリきかねぇとな」


腹に響く低い声に七瀬も息を呑む
そして、聞かなくてはならない


「あんたら……本当に……新選組なのか?」


男はニヒルに笑った


「あぁ。俺は新選組副長、土方歳三だ」