「修道女さん、人間と僕、どっちが悪いと思うニャ?」

再びおどけるように、しかし皮肉げな笑みを浮かべる少年。

「…それでも、我が主は人間を屠る貴方をお許しにはなりません」

アル・アジフを掲げ、カタリナは真っ直ぐに少年を見据える。

「へぇ!神様は僕らよりも人間を助けるんだっ?罪もない猫を甚振り殺す人間の方が、価値ある命っていうんだっ?」

神を嘲笑うように言う少年。

「命に貴賎はありません。猫の方が、人間の方が…命の重さや価値は皆平等です。それを理解できない者には、必ずや天罰が下ります…貴方の飼い主にも、それ相応の罪業が訪れる…ですが…」

カタリナは少年をキッと睨んだ。

「貴方は神でもそれに仕える者でもない…死罪を以って人間を裁く権限はありません」