「修道女?」

声の主はゆっくりと歩み出てきて、首を傾げる。

「ヴァチカン市国カトリック教会の総本山、サン・ピエトロ大聖堂より派遣されて参りました、シスター・カタリナと申します」

礼儀正しく名乗るカタリナ。

「この街で不可解な殺人事件が頻発しているそうで…その解決の為に参りました」

「最近の修道女さんは、殺人事件の捜査もやるのかニャ?」

おどけるように言う声の主は、黒髪、長身で細めの男性。

年齢は17歳くらいだろうか。

カタリナよりも年下の少年という印象を受けた。

「人間同士の殺人事件でしたら私の出る幕はありませんが」

彼女は目を細くして少年を見つめる。

「これは魔物討伐の依頼ですので…」