その黒猫の死から一ヶ月。

シスター・カタリナは人通りのない夜の路地裏を歩いていた。

狭く入り組んだ薄暗い路地。

野良猫達の通り道としては恰好の場所であった。

事実、三毛猫が人懐こくカタリナに歩み寄ってきて、足の辺りに頬擦りする。

「ごめんなさいね、私は食べるものを持ってはいないのです」

赤い瞳を細め、愛らしい姿に微笑みを浮かべるカタリナ。

動物はいい。

決して二心を抱かない。

人間のように言動の裏腹の感情を持たず、ありのままに接してくる。

彼らを見習えば、人の世も争いは激減するだろうに。