―7月の朝。 大きな木の下であたしは一人、ある人を待つ。 「紫苑(シオン)」 あたしを呼ぶのは君じゃない。 「陽太先輩」 君よりも、ずっと背が高くて…ずっと大人で。 「おはよう、じゃあ…行こうか。」 そう微笑んで、優しくあたしの手を引く。 陽太先輩はあたしの彼氏。 1年前の冬、……告白された。