【裕也SIDE】


さっきは驚いた…。




映画の挨拶で監督が言っていた言葉に---




『私はこの映画を最後に引退します』、と…。




あぁ…、




そうでもないか。




もしかしたら…、と思っていたしな。




舞台での挨拶が終わった俺達はそのまま観客席の一番前まで降りてきて、『人魚姫の涙』の映画を見た。




懐かしい風景が次々と流れ、映画を見ているというよりは、前世の時を再確認をしているような…、




そんな気持ちで見ている---




ふと、横にいる俺の愛しい人を見た。