監督はとうとう、おかしくなったのでしょうか?
心配したけどでも、足取りはシッカリしていたから…、大丈夫なのかな?
私の心配を他所に、大事そうにナイフを抱えながら監督は出て行った。
後姿を見届けていると裕也さんが突然、私を抱きかかえてきたものだから驚いた。
「…裕也さん?」
「取り合えず早く着替えないと、風邪引くぞ」
そう言って力なく微笑み、お姫様抱っこをして開いているドア付近まで歩いていく。
そう言えば私、丸い球体の中で水攻めにあった為、全身ずぶ濡れだったっけ…。
ボヤッとそんな事を考えながら裕也さんの一連の動作に呆けいたら、ピタリと裕也さんが立ち止まる。
ん?
どうして止まったのかな?と横を見た瞬間、頭を叩かれてしまった。