【監督SIDE】


あの子は…、




最後に私に向かって笑っていた。




きっと、私の正体に気づいたのだろう---




「フゥーーーッ…」




誰も微動だにしない中、私は大きく息を吐き小田切君のもとへと歩いた。




手に持っているナイフをジッと見つめ、そして涙を流している姿に私はホッとしてしまった。




永い間ずっと好きだった人にこうして涙を流してくれている事…、




麗華は…、いやエレーヌにとってこの上ない幸せのはず。