「この子は、マリア。さっき名前を聞いたら、そう紙に書いてくれたんだ」




「さっき?」




「あぁ…。浜辺でこの子が倒れていたのを見つけたんだ。記憶喪失らしいから、記憶が戻るまでこの城にいてもらおうかと思って」




そう言いながら兄さんはマリアさんに、ニコリと微笑みかけた。




そんな兄さんをマリアさんは赤い顔をしながら見ていて、俺は酷い嫉妬に駆られる。




「…フーン」




面白くない…、




絶対にこの人を俺に振り向かせてやる。



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