みう side


まおと電話を終えた後、耳から離した携帯を思い切り鏡へ投げつけた。


…――ガシャン!!

「なんなのよ!!!!!」

初めてこんなに感情的になったかもしれない


皸が入った鏡に映るのは、まおとは対照的なわたし。

まおみたいに、小さくてふわふわした雰囲気なんてない

みうは美人でいいなー、なんてわたしにいうけど
まおは、すごく可愛らしい顔をしているじゃない。

コンプレックスというものだろうか

まおみたいに、可愛い声じゃない

まおみたいに、可愛くない

まおみたいに…………………

純粋に人を愛せない。


無自覚なのがムカつくの。

いっつも自分を貶すようなことをいうけど、それによって
傷ついていたのはワタシの方。


そう思うと苛立ちで
わたしは、そこら中にあったものを投げて壊して
止めに入った親までに傷を負わせた


ねぇ、私が悪かったの?

わたしが?

そんなはずない


悪いのは全部まおだよ


割れたガラスの破片などが刺さって流れた血、破れたクッションの羽毛、ちぎれたバッグ

すべてがぐしゃぐしゃになった部屋でわたしは思い切り声を上げて泣いた。


こんなに感情的になったことを見たことがない親はわたしを怯えた目で見ていた


もう全てが壊れてしまえばいい


友情も

なにもかも。


笑える。


友情?親友?なにそれ。


涙が収まるとこれまでにない笑いがこみ上げてきた。


引き出しから、カッターとまおと撮ったプリクラを取り出し

力のままにカッターで引き裂いた。


もう笑いしか出てこない

私は狂ってしまったのか

そんなことはもうどうでもいい



それから、まおとお揃いの服、お揃いのアクセサリー、お揃いのストラップ

すべてカッターで引き裂いて捨てた。



切るときに当たって切れてしまっている指も邪魔に感じるほどだった


すべてがなくなった頃にはもう周りは明るくなっていた


割れたガラスに薄ら写るわたしの姿は今まで見てきた中で一番醜いわたしだった。