「…駒…か……」
女神を模した像に歩み寄り、涙を流したように黒く汚れたその頬に指を添わすライア。
彼の後ろ姿を見つめるスティングは1人小さく呟いた。
彼、ライアにとって、自分達は只の道具に過ぎないのだろう。
此方がどう思っていようが、そんな事関係ない。
行動を共にする同士だと思っていようが、仲間だと思っていようが、彼にとって自分達は目的を成し遂げる為だけの存在でしかないのだから。
彼にとって仲間など必要無い。
そんなもの、只の妨げでしかないのだから。
人であろうが物であろうがそれが何であれ、自らの目的を成し遂げる為に利用できるものは全て利用する。
そしてそれが不要となれば、利用価値の無いものだとわかれば、彼はすぐさま排除する。
それが彼、ライアの本来の姿。
何時か自分も塵の如く切り捨てられるだろう。
その覚悟はできてはいるが…