人々の寝静まる真夜中に、何処からか響き渡る賑やかな音楽。


パイプオルガンの独特なその音色は、ある町に佇む古びた教会から漏れ出ていた。




灯りの点らぬ教会の中、ステンドグラスは月明かりに照らされて、床には其処に描かれる模様が綺麗に浮かび上がる。


手慣れた様子でオルガンの鍵盤を叩くのはライア。


表情を見る事はできないが、とても活き活きとした雰囲気のように思われる。




 「…何処か楽しそうに見えるのは気のせいか?」


ライアに問い掛けたのはスティング。


長椅子に腰掛けライアの様子を見守っていたのだが、疑問を抱き目を細める。




 「さぁどうだろう?気のせいかな?それとも事実?」


何が可笑しいのかクスクスと笑って見せるライア。


彼のその態度にスティングは苛立ちを覚え初めていた。