空に散りばめられた煌めく星々。


その中に浮かぶのは鋭い三日月。


穏やかな夜空を見上げるクレアは暗い夜道を1人歩く。



静かな町中に響く波の音に引きつけられるようにして、彼女は海の見える場所へと足を向けた。




 「……?」


防波堤の近くに辿り着いた彼女は、其処に先客が居る事に気づく。

冷たい夜の潮風に茶色の髪を靡かせるその人物。


その男性を知る彼女は彼の傍まで歩み寄ると、何も言わず防波堤に背を預けるようにして隣に立つ。




 「……」


暫しの間無言の時が過ぎ去る。


何時もなら背後から歩み寄る時点で気づき振り返るのだが、今の彼、コウガは隣に来ても此方に目を向ける事は無い。