「そろそろ中へ入りましょう。此処で立ち話も何ですし、彼女をこのまま放っておく訳にもいきませんから」


にこやかに言うジークはシェイラの腕を掴み自分に引き寄せる。


腕を引かれたシェイラは驚きジークを見上げ、レグルは笑みを消し彼へと視線を移す。



レグルから離す事に成功したジークは頭を撫でていた右手を挙げたままの彼へと舌を出す。


そしてシェイラの腕を引き宿の中へと姿を消した。




 「……」


挙げた状態のままだった右手を頭の後ろに回し無言で首をかくレグル。


そして未だ目を開ける事の無いクレアを見下ろすと彼女へと手を伸ばす。


身体を揺らしても起きない彼女を抱えると、ジークとシェイラの後を追い宿の中へ足を進めた。