「この怪我でまだ生きていると言うのが不思議ですね。流石死神と言った所でしょうか」


腕を組みその様子を見守るジークは言葉を漏らす。


彼の服は血で染まっているが、既に傷は完治している様子。

シェイラにより治癒を施されたのだろう。




 「…これで大丈夫です」


暫くしてクレアの治療は終了した。


未だ目を開ける事無く眠り続けるが、大分顔色も良くなり痛みに顔を歪める事も無い。




次いでシェイラはレグルと向き合い彼の腹部へと手をかざす。


彼の傷も治癒しようとするが、彼は伸ばされた彼女の腕を掴む。




 「無理をするな。俺は問題無いから」


優しく声をかけ制止する。


彼女にその力を使わせたくないから。

これ以上、彼女が何かを失うのは嫌だから。



しかし、彼女は首を横に振り柔らかく微笑んだ。




 「私なら大丈夫です。ですから、治療させて下さい。貴方の力になりたいのです」


そう言う彼女の腕は彼の手から離れて行く。


まるでその手から逃がれ、触れる事を許されぬもののように。