「妖刀に手を伸ばし現実から逃げ出したのは私自信。それ相応の責任をとる覚悟はできています……」


顔を伏せ反省したように言う彼女。


その姿に彼は頭をかくと優しく微笑んだ。




 「1人で全てを抱え込む必要はありません。人は誰しも道を踏み違えるものです。貴女は行く先の見えない暗闇に迷い込んだだけ。其処から抜け出す事のできた今の貴女なら、まだやり直す事ができる筈です 」


 「巫女としては、もうやり直す事はできません……」


 「確かに、巫女としてやり直す事はできないかもしれませんが、貴女を認めてくれる人は必ず居る筈です。貴女の刀の実力は素晴らしい。それを活かせばきっと、貴女の居場所は直ぐに見つかりますよ」


微笑みながら優しい言葉をくれる彼を眩しそうに見つめると、彼女は悲しそうに妖刀へと目を落とした。




 「その二口の刀は、貴女に心を許し慕っています。手放す必要などありません。貴女なら彼女達を正しい道へと導く事ができる筈。もう二度と人の道にそれる事なく、この刀と共に新たな道を歩んで下さい」


地に転がる二口の妖刀を手に取り彼女に手渡した。


彼女は戸惑いを見せたが、それを受け取ると大事そうに抱え込んだ。