ジークは地を蹴り刃を交わしたが、次いで繰り出された攻撃を受け止め2人は鍔迫り合いをする。
「それが、護り巫女である貴女の成すべき事なのですか?」
「護り巫女……そんなもの、只の名だけにすぎない…… 実際は、不要なものを厄介払いする為に作られた地位……邪魔者を排除したいのに排除できない…だから、護り巫女と言う名で社に閉じ込め、その存在を無いものとしたんです……」
柄を握り締め、交えた刀を押す力は知らぬ内に増していた。
押され気味の彼は何とか耐え押し返す。
「私は、本家の血を純粋に引き生を受けました。しかし、私の出生は望まれないもの、不要な存在だったんです」
彼を突き飛ばし刀を振り上げる。
しかし身をそらし交わされ、揺れた藍色の髪のみが刃に触れハラリと舞った。
「誰からも受け入れられず、誰からも愛されない。私の出生など無かった事にしたいのに、それが出来ないのがこの世の道理。だから当主は私を小さな社に閉じ込めた。妖刀の護り巫女とし、一生誰の目にも止まらぬように」
刀を振るいながら言葉を続ける彼女。
何度も襲い来る刃を弾き身を捻りながら交わす彼は反撃の時を伺っているのか、攻撃を仕掛ける素振りも見せなかった。