鋼同士のぶつかる音が鳴り響く。


刃を受け止めた彼だが、避けなかった為斬撃が彼を斬りつける。


刀を振り下ろした彼女の口元は綻ぶが、見上げる彼の口元も笑っていた。




 「っ…何っ……!?」


肩から、腕から、頬から散る鮮血。


その鮮血は彼ではなく、彼女から流れたもの。



目を見開く彼女は一旦退き距離を取る。


浅い傷ではあるが、確かに傷を負っていた。


刃は確実に何処にも触れていない。


と言う事は、彼は斬撃を斬り、ましてや跳ね返したというのか?



この短時間で打開策を練り、尚且つ実行に移しこの攻撃を防ぐとは、思ったよりも手強い相手のようだ。



頬の血を拭い彼を睨む彼女は腰に刺す二口の妖刀に手を伸ばす。


しかし、指先が触れた瞬間我に返りその手を離した。




 「使わないのですか?鈴狂と言うその妖刀を」


 「私は護り巫女。その私が、妖刀に狂う訳にはいきません」


妖刀から目をそらす彼女の回答。


その答えに疑問を抱いたジークは目を細める。