立場の逆転した彼女は冷たいその瞳に息を呑む。
「お前のその身体の傷も、お前が得たその力も、全て彼奴等の仕業だろ?彼奴等の指図で、彼奴等の命令でお前は動いているんだろ?そんなお前は、利用されてるだけじゃないのか?只良いように使われてるだけじゃないのか?」
彼の言葉に目をそらし、逃げるように顔を背ける。
一方彼は言葉を続けながら拳を握った。
「彼奴等に利用され続けるお前は、何が変わったって言うんだ……今のお前は、彼奴等に出会う前の、奴隷だった頃のお前と、何も変わりやしないんじゃないのか……?」
「…わかってるさ……わかってる……彼等に利用されている事位…それ位、わかってる……」
遠くを見つめる彼女は小さく呟いた。
何かに耐えるように目を閉じると言葉を続ける。
「…でも…それでもこうするしか……彼等に従うしかなかった……お前の言うように、結局私は奴隷のまま、何も変わっていないんだ……」
ふっと吹いた風が木々を揺らし、木の葉が舞い降りる。
地に落ちたそれを、彼女は悲しそうに見つめていた。