轟き音と共に地が揺れ、小鳥達は羽ばたいた。


振り下ろされた拳はレオンには当たらず、顔のすぐ横の地面にめり込む。




 「…お前の想像通り、私は奴隷……金で売り買いされ、人に飼われ人に生かされる、生きる価値もない、存在価値のない愚かな存在……それが私だ……」


深い闇を見て来たのだろう。

肩で息をし見下ろす彼女の瞳はとても悲しそうな色をしていた。


その瞳に、彼女の素性に言葉を失い、抵抗するのも忘れ彼女を静かに見つめる。




 「…でも、今の私は違う……ライアに救われてから、私は変わった……もう私は、奴隷じゃない…奴隷なんかじゃ、ないんだ……」


遠い目をして呟く彼女も、彼と同じく戦闘の事を忘れていた。


どこか自分に言い聞かせるようなその言葉。




 「変わった……?救われた……?笑わせるなよ……」


彼は彼女を押し倒し、その上に乗ると鋭い瞳で彼女を見下ろした。