人間離れした速さで繰り出される拳は風を切る。
互いに武器は使わず拳同士をぶつけ合う。
弓を使い襲ってきた彼女は接近戦を苦手とすると予想し接近戦に持ち込んだのだが、彼女は遠隔戦よりもむしろこちらの方を得意としているようだ。
レオンは自分と同格程の力を持つ彼女に驚き、関心しながら拳を振るう。
しかし繰り出される攻撃を難なく交わし続ける彼の方が力は上だ。
拳を交わした彼はふと、傷だらけのその腕に眉を潜める。
身体中に存在するその傷は戦闘によって受けたものとは思えない。
誰かの手によって、故意につけられた傷。
「お前、あのマッドサイエンティストに何かされたのか?」
「っ……!」
拳を受け止め腕を後ろに捻りあげ、抵抗出来なくすると問いかける。
その言葉に彼女は目を見開き、足を踏みつけると彼を背負い思い切り投げ飛ばした。