眉を潜める彼を余所に彼女、エルウィン・アウロウはローブを脱ぎ捨て地を蹴った。


一気に距離を縮め、飛んだローブを払う彼の左顔面を狙い蹴りを繰り出す。


それを腕で弾き拳を振るうレオン。


しかし、蹴りを弾かれた彼女は直ぐに逆の脚を振り上げ彼の空いた右顔面に狙いを定める。


右手は拳を振るっている為防御は不可能。


彼は舌打ちしながら身を反らしその蹴りをなんとか交わす。


後方回転し一旦距離を取ったレオンは靴先の掠った鼻先を擦る。




 「訊いてるだろうが、お前は誰だって……」


 「…答えたくない……」


 「はぁ?」


 「その問いに答えても、私には何の特にもならない」


 「自分の得にならない事に答える義理はないってか」


コクリと頷く彼女。


身を低くし戦闘態勢をとる2人は互いに睨み合う。




 「だったら、お前の得とやらになるもんは?」


 「それは……」


一度言葉を止め考える。

だが、直ぐに答えは見つかったのか彼を睨むと口を開く。




 「…それは、お前を殺す事だ」


拳を握ると、言葉を言い終える前に地を蹴った。