毒には少しばかり耐性のある彼は何とかそれに耐え、敵が別の場所に姿を隠す前に再び戦禍の中へと赴いた。


高く飛躍し一気に敵の目の前の枝に着地。

身を隠していたのは黒いローブを身に纏う弓使い。


目の前に現れた彼に驚き矢を放ちながら後退する。


レオンと向き合ったまま後ろの枝に跳ぶその人物。


自慢の脚力で再び高く飛んだレオンは矢を交わし、敵が次に着地するであろう枝の上に先回りした。


背後に回られ矢を放つ事も着地点を変える事も不可能。


身を捻り無理な姿勢で弓を構えるが、矢を引いた瞬間走る激痛。

自らが跳んだ方向ではない方向に飛ぶ身体。


横腹を尋常でない強さで蹴り飛ばされ、木の幹に体をぶつけたかと思うと、何が起きたか考える隙さえ与えず次の攻撃が繰り出される。


苦痛に顔を歪め重力のまま地に落ちる中、襟を掴まれ引かれた拳を目にした瞬間、咄嗟に弓を顔の前に突き出した。

だが、振るわれた拳はそれを真っ二つに折り、更に突き進んできた拳は顔面を殴りつける。




 「ぐはっ……!…くっ……」


抵抗も出来ず地に叩きつけられたローブの人物。


身体中に激痛が走り、一瞬意識が飛びそうになる。


痛む身体を無理に動かし尚も立ち上がろうとするその人物の上に乗るレオンは腕を掴み押さえつけた。




 「…女……?」


フードに隠れていたその顔を目にした彼は言葉を漏らす。


殴られた頬を赤く染め見上げるのは、紛れもなく女であった。