「あれ?ここどこ?」
見渡すと辺り一面真っ白……ではなく、
下は真っ白で、ふわふわしてて、
目の前には薄い水色の家が建っている。
はて…あたしは寝ているはず…
…なぜこんなところに?
…あ!そっかここは夢かぁ……
ってことはあの家はあたしの家だぁ!
そう勝手に決めつけてあたしは目の前にある家のドアを開けた。
「…誰?」
すると部屋の中には、真っ白なながーいヒゲが印象的なおっさんが座っていた。
「これ!おっさんではない!わしは神様じゃ!」
は?こいつ頭いかれてね?
「いかれてなどいない!」
あれ?ってかあたし喋ってないよね?なんでこいつ分かるの?
「それは、神様だからじゃ!」
偉そうにヒゲを触りながら言っている神様?に無償に腹が立った。
「…って神様ぁぁあー?!」
あたししんだの?!
「安心しろしんでなどいない」
「じゃあどうして?!どうして?!」
「それはじゃなぁ………」
ーーガチャ
「あれ?誰?」
その時、あたしと同じような言葉を言いながら一人の綺麗な男の子が入ってきた。
「ほっほっほっやっときたな。
では、揃った所でわしの自己紹介をしよう。わしは、神様じゃ。それで、ここは空の上じゃよ。言ってみれば、地面が雲ってことじゃ。んで、お主らを呼んだのには訳がある。」
そう言って神様は手を天井に向けた。
すると、ある映像が流れ始めた…。
『とうるくん、ママのとこおいでー』
『ままぁー』
ーーギュッ
『ままあったかーい』
『そぅー?』
『あっ!ちょおちょだぁー』
ーバッ
『あっ!…もう…』
ーートコトコトコトコ
『ちょおちょかわいいねぇままぁ』
『そうね……っとおる!危ない!』
とおるくんお母さんの目の先には、とおるんと、一人の女の子の姿があった。
ーードンっ
そして、その女の子ととおるくんがぶつかってしまった。
それは、あたしが今日みた夢と全く同じものだった。
「松葉柚奈、そして鈴木徹。ー…
お主らは魂が入れ替わっておるんじゃ…」
「「はぁぁぁぁーーーー?!」」
突然の神様の衝撃の告白に驚く。
「ちょっとまってよ!どうゆうこと?」
「ーー説明しよう。
お主らは、あの時に入れ替わってしまったのだ。その時、記憶を全て無くした。
そして、今までそのことに気付かずに生活してきたのじゃ。
だが、いつまでもそのままじゃあかんからのぉ…また交換しようってことになったんじゃ。でも、そうするといままでの全ての記憶がなくしてしまうからのぉ…お主らに決めさせようと思って。
じゃから、1週間あげるから2たりで決めるといい。1週間後わしがくるからゆっくりきめとくんじゃぞぉー」
神様は好き勝手言ってフッ…っと何処かへ行ってしまった。
そしてながーい沈黙が続いた。
そして、その沈黙を破ったのは、あの男の子だった。
…………
「鈴木徹、高2」
「へっ?」
「あんたの名前は?」
「えっ…と松葉柚奈。同じく高2です…」
「ふぅーん…ってか、何すればいいの?俺等」
「えっと……1週間過ごせばいいんじゃ?」
「んで、どうする?交換するだろ?」
「えっ…」
「何?したくないの?」
したくないってゆう訳ではない…
だけど、今までのこと全部忘れちゃうんだよね…
「…まぁ、これから決めればいっか!」
徹さんは明るくそう言って家を出て、気持ち良さそに雲の上に寝転んだ。
それを見てあたしも雲の上に寝転ぶと、
「きもちーだろ」
って徹さんが自慢気に言ったから2人で笑った。
「これから1週間よろしくな」
「うん、よろしく!」
太陽みたいな真っ赤な髪の徹さん。
笑うと大っきい目が細くなる。
一言でいえばイケメン。
きっとあたしより20センチぐらい大きい。
そんな徹さんの笑った顔に、思わずときめいてしまった。
「あ、おはよ」
「おはよ」
徹さんはふわぁ…とあくびをしながらも言ってくれた。
そしてあたしは、徹さんのある場所を凝視する。
すると、徹さんはあたしの視線を気付いたのか、こちらを向く。
その動きでさらにあたしの視線の先のものが動く。
「あははっ」
そしてあたしは思わず笑ってしまった。
「なっなんだよ!」
「だって…寝癖が…」
そう、寝癖。
前髪の毛がぴょこんとはねてて面白い。
すると、徹さんは顔を真っ赤にさせて洗面所へと向かった。
驚くことに、この家には家具、家電など、生活に必要な物がすべて揃っている。
まぁ、家なんだから普通なんだけどね。
洗面所へ行くと、鏡の前で一生懸命髪を直している徹さんがいて、それを見てまた笑ったら
「覗き見禁止ー」
って言ってドアを閉められた。
「んー…学校…は行かなくていいんだから…」
徹さんが一生懸命髪を直している間、何をしようか考える。
「朝ごはんでも作ろっかな。」
正直言って料理はあまり得意ではない。
だけど、お腹はすく。
「よしっ!やるか!」
あたしは冷蔵庫を覗いた。
「…………………」
そして閉じる。
その間およそ1.5秒。
冷静に考えてみる。
あたしは今までお母さんのお手伝いをしたことがあったか…と。
「一回もないかも…」
あたしは少し考えてから再び冷蔵庫を開いた。
ーーなんとかなる!
という考えで。
「………何これ」
「それはあたしも聞きたい…」
あたしの目の前には得体のしれないあたしが作り出した物体。
そして、それをありえない…といった目で見ている徹さん。
「はぁ…どうしたらこうなるのか…」
そう言うと徹さんは、ガチャ…と冷蔵庫をあけた。
「んー…これだけあれば…」
そう言うと手慣れた手つきで料理をしていく。
ーーーー20分後
「なにこれ…」
「朝食」
あたしの目の前にはあたしが作り出した物体とは比べ物にならないぐらい綺麗な朝食が…
「美味しそう…」
あたしがそう言うと
「お前の分はあっちな」
と言ってあたしが作ったものを指す。
あたしは「そうだよね…」
と言ってズーンとしながら箸を持った。
つんつんとそれをつつく。
「…よし、」
と言って、食べようとした時…
「ばーか」
と横から声がして、ふわっと髪が目の前にくる。
ーーパクッ
「あ、結構美味いじゃん」
「ーーー!!!」
「お前なぁ、んないかにもな顔すんなよ。」
「だって!」
徹さんがあたしのを食べた。
「俺のはもっとうまいぜ!食う?」
そう言って徹さんは、後ろを指す。
すると、そこには、今徹さんが食べている物と同じ物がおいてあった。
「あ…ありがとっ!!」
そう言って持ってくる。
ーーパク
「んー!美味しいー!」
「だろ?なんせ俺、女だからな。」
「へ?」
「俺は女だろ?」
「あぁ!そっか!オカマかと思ったよ。」
「なんだとぉ?!」
そう言って2人で笑ってた。
「しかし…暇だなぁ。」
これから1週間もこんなんでいいのか…なんて思う。
「なぁ、どうせ記憶消えるならさ、思い出話でもしねぇ?」
「思い出話?」
「あぁ、友達の話とか、恋愛の話とか?」
「んー…そうしよっか。」
「じゃあ、俺からな。」
そう言って徹さんはいろんな事話してくれた。
面白い友達の話。
「俺の友達がさー、隆って言うんだけどさー、すっげえ面白くってさ、この前なんさ、【なぁなぁ、俺今日占いで1位だっんだぜ?】とか言ってたくせに、学食で1番人気のメニューあいつの前で売り切れてんの」
家族の話。
「俺の家は、4人家族。
父親の俊也。
母親の遥。
妹の蜜柑。
そして、俺。
蜜柑は、今小学校2年生。
可愛いけど見かけに惑わされちゃダメだぞ!すっげぇ性格悪いから!」
恋愛の話。
「俺はー…彼女はいねえなぁ。
ってゆうかさー、今まで好きな人もできた事ねえや。
告られたら付き合うー…みたいな?
最低だよな。俺。」
そう言って徹さんはははっと寂しく笑ってた。
「あたしの家はね、5人家族だよ。
父親の優也。
母親の秋。
姉の若菜。
ペットのチョコ。
そしてあたし。
チョコはね、あたしが高校に入学したお祝いに買ってくれたんだ。
ミニチュアダックスフンドだよ。
すっごいかわいいけど、おてんばだから心配…。可愛がってあげてね?
えっと…友達は……
特に親しいのはやっぱり美優かなぁ?
あたし、小学校の時に引っ越しちゃったんだ。だけど、美優とはまだ連絡取り合ってて…すっごくいいこだから、仲良くしてあげて?」
そう言うと徹さんは、
「わかった!」
って、とびきりの笑顔で言ったから、あたしはつられて笑顔になった。