私が予想した、翔太を追いかけていた「赤い人」が消えた理由は当たっていた。


詳しい話は「昨日」になったらきくとして……このカラダを運べるかどうか。


もしも、途中で「赤い人」に遭遇したら。


そう考えると不安になった。


振り返ってはいけない、何があっても振り返らずに、棺桶に納めないといけない。


遥の下半身……いや、腰の部分を持ち、私は玄関前のホールへと急いだ。


最短ルートはひとつだけ。


この廊下の突き当たりを南側に曲がって、東棟の方へ向かう。そして一度、階段を上がって、二階から渡り廊下を通って東棟に入って階段を下りる。


つまり、高広達が通ったルートの逆を行く事になる。


生産棟の階段まで来たけど……もう、今の時点でかなり疲れているのに、遥のカラダを持ちながら階段を上がるのか。


でも、この階段さえ上がってしまえば、後は廊下と下りる階段だけ。


「もう! 何キロあるのよ、これ!」


腕とか脚なら、肩に担げるけれど、部分が部分なだけに、それもできない。


何とか階段を上り切り、次は東棟へと続く渡り廊下を走った。


もう少しで……棺桶に納める事ができる。