「そう……だね。じゃあ、私が合図する。いい?」


今度は、私が留美子にうなずいて、呼吸を整えた。


「行くよ……せー……」


留美子が言おうとしたその瞬間。






ガシャン!






と、ドアの隣のすりガラスが割られたのだ。


「きゃああああっ!!」


思わず身をすくませて叫ぶ私と留美子。


その恐怖から、四つんばいでドアから離れて……そして振り返った。


すると……。






窓の右下の隅、すりガラスが割れた部分から、私達をのぞく、赤い顔がそこにはあったのだ。


窓を割る時に刺さったのだろう。


「赤い人」の右腕を飾るように刺さるガラスの破片が、不気味さを強調して……。


私達を見て、「赤い人」は笑った。


窓を割った腕を引っ込めて、「赤い人」はドアを開けて会議室に入って来た。


血塗れの少女が、真っ赤に染まったウサギのぬいぐるみの足を引きずって。


ジリジリと、私達を壁際に追い詰めるように……「赤い人」が私達に迫る。