私は、留美子の事がわからなくなってきた。


確かに、普段からこんな事は言っていたけど、今は状況が違う。


本当に人が死んでいるのだから、その言葉は使うべきではないと思う。


でも、それを口に出す事はできなかった。


今は皆、心がバラバラになっている。


きっと、「昨日」に戻れば、今度は3人の内の、振り返った人がターゲットにされて責められる。


3人で決めて、行ったはずなのに。


でも、私はそれが怖いんじゃない……私がターゲットにされるのが怖い。


「じゃあ、隣の会議室行こうか。ここにいても仕方ないし」


だから、留美子の後を付いていくしかなかった。


「カラダ探し」は、バラバラにされたカラダを集めなきゃならないのに……私達の心はバラバラになっていく。


留美子と私は事務室を出て、隣の会議室に入った。


そして、ゆっくりとドアを閉めて室内を見回す。












『「赤い人」が、東棟一階に現れました。皆さん気を付けてください』











よりによって……私達のいる東棟に、「赤い人」が現れた。


「何でここなのよ、生産棟にいるんじゃないの!?」