「じゃ、俺達は東棟から行くか。翔太が引き付けてくれるだろ。その間に理科室の中でも調べるぞ」


そう言う高広の後に続き、東棟経由で生産棟の一階へと向かう。


いつも冷静で、皆に頼られていた翔太が、あんなに叫んでいる。


自分で蒔いた種だとはいえ、やっぱりかわいそうだ。


「ねぇ、理恵も健司も、今日の『カラダ探し』が終わったら、翔太を許すんだよね? なんか、見ててかわいそうだよ」


私のその言葉にうなずいたのは理恵。


怒ってはいたけれど、翔太の姿を見たら哀れに思った……そんな所だろう。


「俺も別にいいけど」


健司もそう言ってくれたから、なんだか少し安心した。


東棟一階にある事務室、職員玄関の前を、北側に曲がる。


そのまま5人で北側のドアまで歩いて……私は二つの異変に気づいた。
ひとつは、目の前の高広。


東棟から生産棟に行くには、一度外に出なければならないのだけれど。


「くそっ! ここも開かねぇ……外には出れねぇみたいだな……」


扉を蹴飛ばして、そう言う高広の姿。


玄関から出られないのだから、他の場所からも出られないのは予想できたはずなのに……初日の事だったから、すっかり忘れていた。