携帯電話の光でわずかに見えただけの健司の顔色は、昼間に見たよりも青白く、まるで老け込んだ中年男性のように見えた。


「ああ、時々めまいはするけど大丈夫だ。こんな事をさせられてるんだから、体調もおかしくなる」


それならいいんだけど。


私は少し心配しながらも、高広に目を向けた。


「とりあえず、物が多くて探しにくそうな理科室とか実習室を皆で……」


そう、高広が話している時だった。


『「赤い人」が、西棟一階に現れました。皆さん、気を付けてください』


校内放送が流れた……。


それを聞いて、翔太の呼吸が荒くなり……今からやらなければならない事の恐怖からか、汗が額ににじみ始めている。


「翔太、ほら……早く行けよ」


ニヤリと笑いながら、健司が呟いた。


「くそぉぉぉぉっ!! 出て来い化け物!! 俺はここにいるぞぉ!」


半ばヤケクソ気味に、西棟へと駆け出した翔太。

あれだけ目立つ行動を取れば、「赤い人」も翔太を見つけて、追いかけるはず。