私達がそれに近づいて、見たものは……。


「うわ、これって……もしかして遥の形になってるの?」


理恵が言うように棺桶の中には、人の型を取ったような空間があって。


その人型の右腕の部分には、高広が『昨日』見つけたという左腕が納められていたのだ。


棺桶の中の右腕は、まるで最初からそこにあったかのように、違和感なく、ごく自然にピタリと型に納まっている。


私には、逆にそれが不自然に思えて……相反するその思いが、頭の中をグルグル回る気持ち悪さに、不快感を覚えた。


「なんだろ……この感覚」


気づいたら、そう口に出していた私の顔を、理恵が心配そうにのぞき込む。


「明日香、大丈夫? これを見て、気持ち悪くなったの?」


まあ、そう思うのは普通だろう。


普段なら、絶対に見る事のない光景が、目の前にあるのだから。


「大丈夫だよ……そんな事言ったところで、休める状況じゃないしね」


皆もそれはわかっているはずだ。


「赤い人」がいる限り、ゆっくりなんてしていられないのだから。


「私より、健司はどうなの? 気分悪くなった? 顔色が悪いみたいだけど」