*夏樹Side*

「東雲さ〜ん、宿題見せて〜?」

「ごめんね東雲さーん、今日アタシ用事あるんだ〜。掃除当番変わってくんな〜い?」

うーわ、テンプレ。
東雲……円香ちゃんだっけ?かわいそーに。

ん、オレ?オレ、三倉夏樹!
いつでも明るいクラスの元気印でお馴染みの、夏樹くんだよー!

勉強とかちょい苦手だけど、その辺は親友の一馬に教えてもらうからオールオッケー☆
あ、運動は得意だよ?オレ、サッカー部!しかもレギュラーなんだから!


っと、今はそんな話してんじゃなくて…クラスの地味っ子東雲ちゃんが絡まれちゃってんだった。


てか、確かあの東雲ちゃんの幼馴染って……?

「あら……、あたしの可愛い幼馴染に、何か御用かしら?それならまず私を通して欲しいわね」



あ、そうだそうだ。"女王"だ!



「あ、愛花さま……っ」

「そんな、アタシたち何も……」

ありゃりゃ、顔真っ青。

あの子らもかわいそうだねー、女王に目をつけられたらこの先大変だよ?


ま、ジゴージトクってやつだけど♪

「あ、愛花ちゃん……!私別に何もされてないから、ね?おちつこ?」

おろ、意外。女王から庇ってあげるんだ?東雲ちゃん、やっさし〜☆

「………でも、円香……」

「本当に!何もされてないから!ね?」

「……円香が、そう言うなら。…命拾いしたわね、貴女たち
…でも、次はないわよ」


わー、女王の冷たい眼差しって迫力ある〜。オレ、思わずビビっちゃったよ。




「愛花ちゃん……そんな、人を脅すよーなことはよくないよ?話し合いも大事なんだから……」

「……全く、円香は甘いんだから…。ほら、いきましょ?今日はママがケーキ作ってくれたんだから!」

「ホント!?愛花ちゃんの家のお菓子、すっごく美味しいから楽しみ〜♪」


楽しそうに話しながら教室を出て行こうとする二人。

ふと、東雲ちゃんと目が合ったからヘラリと笑って手を振ってみた。
…単なる気まぐれなんだけどね?


東雲ちゃんは驚いたっぽかったけど、ニコッと笑って小さく手を振りかえしてくれた。


「…円香、何してるの?」

「ん、ううんーなんでもないよ?」

ま、女王がオレのこと睨んですぐに東雲ちゃん連れ出しちゃったんだけどね。
ホント、女王って過保護だねー。




……って、あれ?
…………東雲ちゃん、笑うと結構カワイくね?
メガネ外して、コンタクトにして、髪ももーちょっと切っちゃえば……案外、化けるんじゃ。




…なんでだろ、笑った顔見ただけなのに……胸、ドキドキするや。