「見て、あれ!愛花さまよ!」
「花園さん…今日も美人だなー」
「さっすが、この学校の女王様!」
「憧れるよねー♪」
歩いてると自然と聞こえてくる声。
そう、わたしの大親友、花園 愛花 は学校一の美少女、学校の女王様!
そんな子が親友なんて、嬉しいけど…でも、わたしに向けられる視線が痛い。
なんで、あんな子が愛花さまの横にいるの?
…って言ってる、みんなの視線が。
「じゃあ円香、また後でね☆」
「うん。バイバイ、愛花ちゃん」
愛花ちゃんは、わたしより一つ年上だからいつも下駄箱でバイバイ。
上靴を取り出してると、聞こえてくるのは周りの人のひそひそ話。
「あれ、二年の…東雲さん?でしょ」
「そうそう、学校一の地味子」
「なんでそんな子が、愛花さまと話せるの?」
「幼馴染みらしーよ??」
「ふーん…変なの。愛花さまにはあんな子、釣り合わないわ」
ひそひそ話のつもりでも、しっかり聞こえてくる声に胸がズキズキする。
釣り合わない…か。
ズキズキ痛む胸を抑えて、わたしは聞こえないフリして教室に行った。