「おいおい、のんちゃん…いくらけんちゃんでも腰いっちまうぞ」
呆れながら遅れてやってきたのは、カズこと、久遠 和哉…常識人だ
「はよー」
目をこすりながら歩いてきたのは、コージこと、浅羽 紘司…世にゆうイケメンという類いのものだ
「けんちゃん、さっきから心の声駄々もれだからね」
のんちゃんが言う
え!
「つーか、俺の扱い酷くねぇか?ものってなんだよ…ものって」
コージが続けて言う
「俺、やっぱ普通なんだね…よかった」
さらに続けてカズが言う
「俺ら、さ…」
クラス発表を目前にして、俺は呟いた
「同じクラスになれると思うか?」
俺の言葉に三人が固まる
「あんまし考えてなかったけど…俺ら去年…やらかしたよね」
カズの言葉にのんちゃんが続ける
「俺、谷センかもしんない…」
のんちゃんの言葉にコージが焦りはじめた
「谷セン…やべーよマジで、俺噂でさ聞いたんだけどな、」
コージの言葉にのんちゃんが固まった
「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!」
「よーし、お前ら少し落ち着け?な?」
カズがのんちゃんを慰める
ついでに、谷センとはうちの高校の現国の教師で本名は谷川 康裕《たにがわ やすひろ》である。
「おっ、クラス発表の紙来たんじゃねー?」
コージが言う
「まぁ、考えたって見ないと分からないわけで」
カズが紙の方を見ながら言った
「あー!」
「なにさ!ビックリするじゃん!」
のんちゃんが怒りながら言った
「たった今、俺は奇跡を感じたよ」
カズはのんちゃんを無視して続けた
「俺ら全員同じで、滝ちゃんのクラスだぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!」
マジで?
「うおぉぉぉお「しゃぁぁあ!」
俺に続けてコージが叫んだ
横に、美女が居るのも気づかずに…
唯《ゆい》side
私の学校はグラウンドにクラス発表の紙を張り出し、全校生徒がそれを見る
新年度の恒例行事だ
私はそれを、親友の茉理《まつり》と見に来たのだが…
運が良いのか悪いのか、横に居たのは我が学校のアイドルの四人組だった
「唯ちゃん、私たち同じクラスだよ」
茉理は目が良いので紙を見てくれたらしい
ついでに、私は目が悪い
裸眼では何も見えないので眼鏡をかけている
「ありがと…「うおぉぉぉしゃぁぁあ!」
私がお礼を言おうとしたその時、横からものすごい叫び声が聞こえてきた
私や茉理を含め、ほとんどの生徒が叫び声の方を向いた
「うるせぇよ、お前ら」
そう、静かに叫び声の主を制したのは久遠 和哉
アイドルの一人である
久遠は茶色い髪の毛にたれた目が色っぽさを感じさせる大人なイケメン
「わ、悪りぃ…」
久遠に謝ったのは、橘 賢也
コイツもアイドルの一人で、茶髪の短髪で明るい性格のとても親しみやすいイケメンだ
「喜んで悪りぃかよ」
そう、久遠に言い返したのは浅羽 紘司だ
黒髪の短髪、スポーツも勉強もなんでもこなす、浅羽はアイドルの中でも一番の美貌を兼ね備えている
「良いんじゃない?新年度だしっ」
そう言って、可愛く微笑んだのは綾瀬 希である
黒髪の少しウェーブのかかった髪の毛は彼の可愛らしい顔に合っている
この子もアイドルの一人だ
と、まぁ…イケメン四人組はとてもモテるわけだが…
「唯ちゃん、どうかしたの?」
このように、茉理のような"私、イケメン興味ないんで"タイプもいて
「ううん、なんでもないよ」
私達はイケメンを無視した
「ちょっ、美少女っ!美少女がいる!」
そう言ったのは橘である
「けんちゃんもついに、女子に興味を持ったか」
橘の肩をポンっと叩いたのは久遠である
「そ、そういうわけじゃ無いんだけど「おぉーい、そこのお二方~」
橘の声を遮りながら二人を呼んだのは…綾瀬だろうか、なにしろ私はもう後ろを向いているので分からない
「ねぇ、唯ちゃん」
茉理は後ろを見ながら私を呼んだ
「ん?どうかした?」
「あの男の子達、私たちを見てない?」
そんなはずは…と、私は後ろを向いた
「うわ、こっち向いてるるるる…!」
いや、焦りすぎでしょ
てゆうか…アイツ…
「フフッ、そういうことね」
私は茉理の背中を押しながら四人組の方に走っていった
コージside
「こっち来るるるる!!」
けんちゃんが焦りはじめた
あの二人は…
「おっ、あの子らってさ~ツートップじゃん?」
カズがけんちゃんに言った
カズは顔が広い、生徒会の一員でもあるカズは生徒の様子を日々観察している
「えっとね、眼鏡をかけているほうは
芹澤 唯《せりざわゆい》ちゃん、あのサラサラの黒い髪の毛は男子を絡めとると言われている。」
なんだそれ…まあ、綺麗な顔立ちだけどな
「んで、けんちゃんの好きな人でもある、もう一人の子は…」
別に好きな訳じゃ…
と、言い訳をしているが…顔が真っ赤なので説得力が全くない
「大河 茉理《おおかわまつり》ちゃんは
唯ちゃんといつもいる女の子で、才色兼備の天然美少女」
天然…
「なぁ、大河って野生の生き物なのか?」
俺はカズに聞いた
「はぁ?天然っていうのは無自覚って意味だよ!」
そ、そうなのか…
「コージ、俺…コージを初めてバカだと思ったよ」
のんちゃんが物凄く驚いている
「うっせぇ、つか、もう目の前にツートップいるぞ」
けんちゃんはピシッと固まった
「ええっと…私たちで合ってますかね?」
芹澤がのんちゃんに話しかけた
「そーそー、合ってるよ~」
ニコニコとのんちゃんは笑って対応している
「ほらっ、茉理もなんか喋りなよ」
芹澤は大河をけんちゃんの前に立たせた
「え!っと…こんにちは…」
大河はペコッと挨拶をした
「こ、ここ、こここここんにちは!!」
いや、焦りすぎだろ
けんちゃんはなんというか…分かりやすい
「ほらもー、けんちゃん?力入りすぎだから」
カズがけんちゃんの背中をポンポンとたたいてやる