「―――…ォ、――オ、ナオ!」
自分の名前を呼ぶ声に、ハッとして我に返る。
シロが少し心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「ああ…ごめん、ちょっと昔のこと…思い出してて」
脳裏に浮かぶ蒼太の笑顔を思い出して、ギリ、と拳を強く握った。
あの日―――
あの日から彼と《友達》になって、どれほど私は変われただろう?
『つまんない』
そう思ってた世界は、案外そうでもなくて。
でもそれはすべて、蒼太のおかげだった。
蒼太と一緒にいたから、世界は輝いて見えて。
だけど―――
蒼太が、いなくなった世界は………
私が唇を噛み締めていると、不意にシロが口を開いた。
「ナオにとってソウタは…誰よりも何よりも大切だったんだね」